普段なに気なく乗車している鉄道路線の端と端。終着駅や始発駅がどんな駅か気になったことはありませんか。そんなささやかな関心事をレポートする当ブログ「終着駅は始発駅。」今回は東武鉄道「大師前駅」の紹介です。
大師前駅について

東京23区の1つ東京都足立区のやや中央付近に東武大師線の終着駅(始発駅)、大師前駅はあります。開業は1931年(昭和6年)と、鉄道の歴史からすると昭和に入ってからの路線なので、どこか後発路線な感じがします。


東武スカイツリーラインの西新井駅から乗車し、たった一区間の単線約1キロを2分で結ぶ東武大師線の大師前駅という名称ですから、目と鼻の先には西新井大師(總持寺)があり、住民や参拝客にも広く利用されております。西新井駅から一駅だけ延びている大師前駅は路線図を見るたびに、まるで西新井大師のために作った路線なのかと気になっていた駅です。

駅舎の外観ですがとても立派で大きな駅です。きっと年末年始など参拝客が多く訪れるときは、このくらい大きな駅でないと構内に乗客を待機させられないんでしょうね。西新井大師、さすがの集客力ですね。

そんな大師前駅は東武大師線の終点駅でありますので「終着駅は始発駅。」の対象駅です。たった1区間だけの路線の終着駅とはいったいどんな駅なのか気になりますね。路線図を見ては気になっている方の代わりに東武大師線の大師前駅をレポートして参ります。
東武大師線 大師前駅 駅舎



こちらが改札口ですか。おや、なんと懐かしい改札でしょうか。自動改札機ではなく駅員さんが切符切りしてくれる昔の改札ではないですか! でもいまは無人化されていますので、改札はそのままお通りください。。

なるほど、大師前駅では切符は販売しておらず、そのまま改札口を抜けて乗車した後に西新井駅で後払いで支払えばよいのですね。

だから大師前駅にはどこにも券売機が見あたらなかったんですね。窓口と思われるところもシャッターが下りた状態だし。そういうことですか。
大師前駅で切符の購入は不要です

そのまま改札を抜け駅構内に入り、列車に乗車してまずは西新井駅へ。西新井駅へ行けば東武大師線の出口があり、そこに券売機と自動改札機がございますので、大師前駅-西新井駅間の料金はこちらで精算できます。混雑回避の良いシステムですね。


では改札をスッと通り抜け、建物の3Fに位置する大師前駅のホームへ参りましょう。

東武8000系リバイバルカラー

大師前駅のホームに到着しました。

おお、ホームも広いですが屋根がアーチ状になっているため、とても広い空間が広がっています。1番線しかないのがどこかもったいない気がします。これだけ広い空間ですから、屋根から大きな金剛力士像が見下ろしています。

駅名標はオレンジベースのブルーライン。ということは東武スカイツリーライン属性ということですね。しかし駅ナンバリングが「TS51」とは。同じ東武スカイツリーライン属性でも亀戸線のように、桁を変えて番号を割り振っているんですね。(亀戸線は40番台。大師線は50番台。)

でも番線表示を見るとオレンジラインにレッドラインと、こちらは東武日光線属性ですね。そういえば、昔は浅草駅から大師前駅までの直通運行がされていたと聞いたことがあります。そこの頃の名残なのでしょうか。

たった一区間ではありますが、この駅は紛れもない終着駅。行き止り標識もこの通り設置されております。

駅の中には東武バスの営業所が入っているようです。

1番線ホームには、都内ではあまり見かけることのない東武8000系が2両編成で到着しました。

でも少し塗装が珍しいですね。実はこれ昭和30年代のカラーリングを復刻させた、リバイバルカラーの東武8000系なんです。このオレンジ色の他にグリーンやイエローなど全3種類が運行していますが、この日はオレンジでしたね。東武亀戸線でも見かけますが、懐かしさがあってよい雰囲気で、都内ですが非日常を感じます。

列車は到着すると直ぐに行先変更を行い、乗客を乗せ西新井駅へと出発していきました。終着駅は始発駅ですね。

早朝深夜少しの違いはありますが、基本10分間隔で列車が運行されておりますので、焦らずゆっくりと次の列車にご乗車ください。

列車が去った駅のホーム。いまは無人駅なので余計にガランとして寂しいですね。これだけ広ければ1番線ホームの反対側には2番線ホームがあってもよいのですが、1駅区間の路線となった今ではもう必要ないですかね。でもとある計画が実現していたら2番線ホームが存在し、大師前駅は終着駅では無かったかも知れないんです。

と言う訳で、次の列車が到着するまでの間に、東武大師線の歴史について少し触れてみたいと思います。
幻に終わった壮大な路線計画
冒頭にて、大師前駅は西新井大師のための駅なのでは。と書きましたが、いまはそのように映りますが実は違っておりまして、当初は東武大師線という名称ではなく、東武伊勢崎線の西新井駅と東武東上線の上板橋駅(付近)を結ぶはずだった「東武西板線」という路線計画だったんですよ。

大正時代に東武伊勢崎線と東武東上線を結ぶ、夢の路線として計画された東武西板線ですが、関東大震災やその後の都市計画の影響で思うように工事が進展せず、結果として西新井駅-大師前駅間だけ開業されたのが、現在の東武大師線のようです。

ちなみにその東武西板線の沿線計画ルートを見てみると、なんと環状七号線とほぼ同じだったそうです。先に幹線道路としてルートを開拓されてしまったことも計画中止に影響を及ぼしていたんでしょう。

計画が実現していれば、西新井駅から池袋駅へ行きやすくなる路線が開通していたのかも知れないなんて、とても意外な歴史を持った路線であり意外な駅です。

過去に西新井大師に参拝したときは何も知りませんでしたが、あの行止まり標識の先には、そんな夢が詰まっていたなんて・・・。
駅前周辺

大師前駅というわけですから、当然駅から直ぐに西新井大師(總持寺)がございます。最短距離で行くこともできますが、西新井大師表参道を通って行くのも参拝気分が高まるのでお勧めです。



参道には草だんご屋さんや甘味処、お食事処などが軒を連ねております。草だんご屋さんが多い気がしましたが名物なんでしょうか。

山門を抜けると西新井大師に到着。立派ですよね。これだけ立派だったら、それは西新井大師のための路線だと思っても不思議ではないですよ。

大師前駅の駅前には環状七号線が通っていると書きましたが、それはつまり交通の便が良いということですよね。なので大師前駅付近にはたくさんのバス停留所がございます。

こちらの広いスペースには東武バスがたくさん停車しております。そういえば駅の中に東武バスの営業所がありましたね。


行先はさまざま、北千住駅行、王子駅行、赤羽駅行、池袋行など、どこにでも出られますね。
そうかぁ、バスで池袋駅まで行けるとは・・・。もう東武西板線計画は復活しないですかね・・・。

ちなみに西新井駅からの距離は約1キロなので、環状七号線を歩けば10分ちょっとで到着するとは思いますが、列車に乗って歴史のロマンを感じてくだされば嬉しい限りです。
駅前食べ歩き

西新井大師の表参道には草だんご屋さんが多く軒を連ねておりますが、だんごを配って試食をさせてくれる店舗もございました。ひとついただきましたが、草の香りがほどよく、あんことの調和がとても美味しかったです。

以上、東武大師線「大師前駅」のレポートでした。今後は大師前行の列車や路線図で大師前駅を見つけた時に、当ブログで見た大師前駅を思い浮かべてくれたら嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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