普段なに気なく乗車している鉄道路線の端と端。終着駅や始発駅がどんな駅か気になったことはありませんか。そんなささやかな関心事をレポートする当ブログ「終着駅は始発駅。」今回は東武鬼怒川線、東武日光線「下今市駅」の紹介です。
下今市駅について

栃木県北西部に位置する日光市に下今市駅はあります。日光への表玄関でもあり、日光街道と会津西街道の分岐点である下今市駅は、世界遺産日光と鬼怒川温泉へと分かれる観光の分岐駅として、観光地へと向かう交通の要衝となっております。

下今市駅が開業したのは1929年(昭和4年)のこと。開業当時の短い期間は東武日光線の終点駅だったようですが、すぐさま東武日光駅まで延伸され東武日光線は全線開通となりました。ほぼ同時期に東武鬼怒川線が下今市駅を起点駅として運行が開始されたことから、下今市駅は日光と鬼怒川温泉、2大観光地への分岐駅となりました。

下今市駅は東武鬼怒川線の起点駅なので「終着駅は始発駅。」の対象駅です。さらに現在ではSL大樹に乗車できる駅として多くの観光客が訪れるなど、みなさんが気になっている駅ではないでしょうか。今回はそんな日光、鬼怒川の手前にある観光駅、下今市駅をレポートして参ります。
懐かしい昭和レトロな駅舎

まず下今市駅を訪れてみて最初に思うことは、なんか懐かしいな。ではないでしょうか。それもそのはず、下今市駅は2017年(平成29年)に、SLが走っていた当時の時代を彷彿とさせる昭和レトロ感のある駅舎へと改修されました。

駅名の看板も日本古来の右から読む横書きで書かれています。こちらもSL大樹が走ることもあり、SLが走っていた昭和初期あたりの時代を演出しているのでしょう。当然その頃には生まれてもいませんが、当時の雰囲気が味わえ、何となく懐かしいと感じられる駅舎です。

駅には縁側が設けられているので、座ってゆっくり休んだりもできます。

それも温もりのある木で作られた昭和レトロな駅に改修されたから、グッドではなく「ウッドデザイン賞」を受賞されたようですね。おめでとうございます。

SL時代の雰囲気が漂う待合室。大勢の方がSL大樹の出発を待っていました。さすがに撮影は出来ませんでしたが、室内には古い昔の写真や当時のポスターなどが飾られていました。

ピッと電子音がする自動改札機なのは仕方ありませんが、昭和レトロ感の雰囲気は保たれています。では、改札を抜けて下今市駅のホームへ行ってみましょう。

1番線ホームは東武日光方面で、2番線ホームは鬼怒川温泉方面ですか。どちらに乗車しても観光地へ向かう分岐のプラットホームで楽しそうですね。

ホームに降りると早速、東武日光行きの特急リバティが停車中。

そして2番線ホームには新藤原行きの東武20400型が停車中。どちらに乗車しても楽しそうです。しかし、この20400型列車を見ると北関東地域の東武鉄道に来たと感じるとともに、非日常的な気分になれます。

日光、鬼怒川へは東武鉄道だけではありません。その昔は成田エクスプレスとして活躍していたJRの253系きぬがわだって停車します。新宿から1本で日光や鬼怒川温泉に行けるとは便利ですね。東武日光方面、鬼怒川温泉方面のそれぞれの時刻表は下記をご確認ください。
東武日光線も東武鬼怒川線も同じ東武鉄道なので、乗り換えする時は改札を出る必要はありませんが、特急に乗車する際は座席指定だけお気を付けください。

懐かしい昭和レトロな下今市駅

さて列車にばかりに目を奪われてしまいましたが、下今市駅には駅名票をはじめとする昭和レトロな見どころがたくさんあります。

このホーロー看板風の駅名標は懐かしい昭和レトロ感を演出していていいですね。

突如ホームに現れる洗面台。ずっと放置されていたものかと思いきや、SLが走っていた当時のデザインで再現し、新たに設置されたそうです。なぜ洗面台が、と思いますが、当時はすすで汚れた顔を洗うため駅のホームには設置されていたそうです。でもいまでは雰囲気づくりとして設置してくれているのでしょうね。いい演出です。

1、2番線ホームには待合室が設置されておりますので、乗り換えする時も安心です。こちらは昭和レトロではありますが、自動ドアで機能性を重視しております。
旧跨線橋レトロギャラリー


各ホームから直接つながっている旧跨線橋は、改修後レトロギャラリーとして生まれ変わりました。

昭和レトロのコンセプト通り、当時を感じさせるポスターなどが多数展示されていました。

ではいよいよ3、4番線ホームへ行ってみましょう。こちらは主に上り東京方面のホームと、SL大樹が出発するホームになっています。SL大樹楽しみですね。

鬼怒川温泉行きのSL大樹の出発時刻を確認しました。その次は浅草行の特急スペーシアにJR新宿行の253系きぬがわですか。なんて豪華な案内表示でしょうか。

南栗橋、北千住、浅草方面、JR新宿方面の下り列車の時刻表はこちらをご確認ください。

SL大樹の出発時刻までに3、4番線ホームを少し探索してみると、昭和レトロな色々な演出が目に入ります。この古っぽい路線案内表も昔っぽい雰囲気でいいですね。

腰掛ける長椅子も木製で造られており、温もりが感じられます。

3、4番線ホームにも待合室はございます。北関東は冬場は結構寒いですからね、待合室は必須です。

そして足元を見るとSL大樹の乗り場案内が記されております。そしてSL大樹の出発時刻が迫ってきました。

2017年(平成29年)から下今市駅-鬼怒川温泉駅間の運行が開始されたSL大樹。現在では東武日光駅までも結ぶSL大樹ふたらも運行されております。そんなSL大樹の魅力に惹かれ下今市駅を訪れる方も大勢いらっしゃいますから、この駅舎自体がもう観光地である。と言っても過言ではありません。
真岡鉄道のSLもおか、秩父鉄道のパレオエクスプレス、どのSLの周りには、いつもたくさんの笑顔がありましたが、ここ下今市駅のSL大樹も同様でした。そんなみんなを笑顔にさせるSL大樹が走る姿を撮影しましたので、よかったらご覧ください。

ホームには売店がありお弁当やお菓子、お土産を購入することができます。

お土産には東武鉄道のグッズもたくさんございます。良い思い出になりますね。

さらにSL大樹のヘッドマークが記された記念メダルも販売中。日付と名前が入るのでこちらの方が思い出にはなるかな。
SLの魅力をもっと間近に
転車台広場

SL大樹が出発し、その力強い姿の余韻に浸っておりましたが、下今市駅にはまだまだSLを楽しむ施設がございます。

新しい跨線橋の長い通路を抜けると、

何やら見晴らしの良い広い敷地へと出てきました。

そうです、なんとここは蒸気機関車の転車台広場。

ここでは、下今市機関区内にある転車台でSLが機回しをする姿を間近で見ることができます。ちなみにこの転車台はJR西日本の長門市駅で使用されていたものを鉄道産業文化遺産の保存や東北復興支援の一助にということで下今市駅へと譲渡されたようです。鉄道はレールで繋がっていますが、心までも繋がっていたのかという、とても深くていいお話ですね。

こちらに何気なく立っている給水柱は、かつて東武線で活躍したSLへの給水に使われていたもののようです。SLの運行終了とともにSL関連の施設は取り壊されましたが、偶然にもこの給水柱だけが館林駅に残されていたものを、下今市駅に展示しているそうです。SLの歴史が詰まっていますね。
SL展示館

さらに、より深くSLを知ってもらうためのSL展示館。

1階には休憩スペースが設けられており、SLを間近でゆったっりと見ることができます。

木炭を放り込むごっこ遊びで運転士気分が味わえるミニSL大樹。小さな子供が喜びそうです。

壁にはSL大樹の切り絵が飾られていました。とても上手です。

2階にはさらにSLの魅力を伝える展示物が並んでいます。特に良かったのが、特別展示なので期間限定かも知れませんが、このSLサウンドが聞ける機械は中々迫力があって凄かったです。

ボタンを押すとSL大樹のさまざまなシーンの音がスピーカーから発せられ、臨場感を味わうことができます。

下今市駅は世界遺産がある日光や、温泉をゆっくりと楽しむ鬼怒川温泉へと向かう列車の分岐駅という認識でしたが、これ程までに魅力がある駅ということは知りませんでした。もしかしたらイマイチという地名が変な先入観を持たせてしまっているのでしょうか。

そんなイメージを払拭したSL大樹の存在は大きく、下今市駅の昭和レトロへの改修に始まり、さまざまな施設の建設など、ここはもう観光地と言ってもいいレベルだと思いました。もう観光への分岐駅という存在ではなく、観光が始まる観光への起点駅というもっと大きな存在感をSLがもたらしてくれたのでしょうね。
駅前周辺


改札口は1ヶ所にみなので迷うことはありません。駅を出るとロータリーが広がっております。

駅前にはあまり飲食店やお土産屋さんなど無いのが残念ですが、徒歩約5分のところに道の駅があるので、そこまで歩くのが良いかと思います。
駅前食べ歩き

今回の食べ歩きは下今市駅から徒歩約5分にある、道の駅「日光街道 ニコニコ本陣」へ。こちらは日光のお土産や地元の野菜、栃木の特産物や地酒などを取り扱い、飲食店もいくつか出展されている割と大型な道の駅です。

何か良さそうなものを食べてレポートしなければと思い、ジェラート屋さんの日光ミルク味を食べてみました。さっぱりして美味しかったので、こちらもおススメとして紹介したかったのですが、それよりもお土産で買ったお菓子に心を撃ち抜かれました。

1937年(昭和12年)創業、日光東照宮献上品認定の老舗和菓子屋「元祖 日昇堂」さんの
日光ラスク 苺チョコを買って帰ったのですが、家に帰って食べたらこれが美味しくてビックリしました。

最初は普通のラスクに苺チョコが、少し掛かっている程度のお菓子だろうという認識だったのですが、一つ食べたらもう止まりません。苺チョコが掛かっているなんていうレベルではなく、苺チョコの海にどっぷり浸かりまくったラスクという感じなので、まるで苺チョコを食べているかのようですが、食感はラスクなのでサクサクしていて、チョコではないチョコという不思議な食べ物。これにはハマってしまいましたので、思わず通販でもポチってしまう程美味しいお菓子でした。
以上、東武鬼怒川線、東武日光線、下今市駅レポートでした。今後は下今市駅を通った時や下今市行の列車、発車案内板を見かけたら、当ブログでみた下今市駅を思い浮かべてくれたら嬉しいです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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